2026.07.08 00:00
コラム

西野拓真はこの春、中1から始めたラグビーにピリオドを打った。ヴェルブリッツでは2年の在籍だった。
「ケガをして入ってきたんですけど、正直レベルの違いを感じて。身体の強さやコンタクトの強度、大学とは違って、ついていくのが精いっぱいの自分がいた」
183㌢113㌔のサイズも、リーグワンのレベルは想像を超えていた。
「まずスクラムが組めない。壁にぶち当たりました。木津さん、タウファ、ハミー(トゥイプロトゥ)、須藤元樹さん(現浦安DR)…。いろんな人に聞いたんですけど、いざ組んでみると、身体がリーグワンのレベルになれていなくて、対応できなかった。僕も身体が大きいと言われていたんですが、大きいだけじゃアカンな、と。スクラムで必要な筋肉をもっと強化すべきだった」
ケガにも悩まされた。大学3年時、春季大会の明大戦で初めてスタメンに抜擢された。だがその次の早大戦で負傷。そこから長くリハビリが続いた。ヴェルブリッツに加入した最初の1年もリハビリに費やした。もっと鍛える時間があれば、との思いもあるが、退くことを決めたのも、フロントローとしてのプライドだ。
「FW合宿でちょっとずつ組めるようになったけど、全部安定して組めたわけではない。安定したスクラムが組めないのは、フロントローとして問題」
スクラムの重要性を知るからこそ、下した決断。神川中、京都成章高、帝京大と続けてきた現役に別れを告げた。
「やりきったなという思いが大きい。悔いなく終われました。ラグビーから解放された感じです」
実際、引退後は食事量が減った。
「これまではオフでも身体の事を考えていたから。さみしいような自由になったような気持ちです」
現在は明知工場生産管理部に勤務。仕事を学んでいる最中だ。
「まず先輩の後ろをついていって、顔を覚えてもらうところからスタートです。知らないことばかりで、メモとりまくりです(笑)」
これからはヴェルブリッツを応援する側に回る。最後のミーティングで、仲間に思いのたけを伝えた。
「みんなが優勝トロフィーを掲げている姿が見たいとお願いしてきたので、きっとやってくれると思います」
最下位から6強入り寸前まで巻き返した1年を共に過ごしたのは、かけがえのない財産。
「どん底から這い上がっていく力を持っていると証明できた。来年は最初から、あのままの勢いでいってほしい。きっとやってくれます。(決勝は)国立、行きます」
職場はフリーアドレス。毎朝出社すると、姿を探して真っ先に挨拶する人がいる。ヴェルブリッツの高橋一彰シニアアドバイザーだ。同氏は明知工場の工場長でもある。在籍中はポジションの同じ先輩から、あれこれとアドバイスをもらっていた。
「宮崎合宿の時、1対1でスクラムを教えてもらいました。会社でも“ちょっといいか”と言われて、オフィスでスクラム練習が始まったり。今も“頑張ってるか”と、よく声をかけていただいてます」
ラグビーで生まれた絆はこれからも続いていく。
「まず業務内容を覚えて、早くひとり立ちすること。そして頑張って工場長を目指します(笑)」
一緒にスクラムを組みあうことはもうないけれど。仕事で先を行く先輩の背中を追う日々は、もう始まっている。

ラストゲームを終え、同期の仲間と