2026.05.11 00:00
コラム
第18節マッチレポート
「後半、純粋にラグビーを楽しんでできた」(奥井章仁)
トヨタヴェルブリッツは5月9日、リーグワン最終節で三重交通Gで、三重ホンダヒート(三重H)と対戦。26-38で敗れ、今季を7勝11敗の9位で終えた。
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三重Hが65年での鈴鹿の歴史に幕を閉じた一戦。会見でスティーブ・ハンセンHCは今季限りの退任と、イアン・フォスター共同コーチが後任を務めることを明かした。2019年度からチームに携わった恩人のラストゲーム。白星で送り出すことはかなわなかった。
「三重Hは称賛に値するチーム。最後の試合でスピリットを見せてくれた」。同HCは相手を称え、「非常に難しかった試合。レフリングが非常に残念だった」と、判定に触れた。
続けて「これは日本の慣習に反することかもしれませんが、去る立場として言います。日本に来て一番残念だと感じたことはレフリング。リーグのレベルに見合っていない。日本のラグビーが本当に成長するためにはレフリングの向上が必要。改善をリーグワン、日本協会に強く求めたい」と運営側の対応を促した。
試合は序盤から相手の激しいプレッシャーを浴びた。ゲームキャプテンを務めたFL奥井章仁は「受けてしまったところもあった」。続けてトライを許し、0-31とリードされて迎えたハーフタイム。ハンセンHCは「まずは落ち着きを取り戻す必要があった。自信を持ってスキルを、ゲームを信じ、楽しんでプレーしようと。選手がそれをやってくれたのは誇り」
残りの40分はスコアボードを気にせず、自分たちのラグビーを追求した。4分、14分とWTBマーク・テレアがトライ。本来のアタッキングラグビーのリズムを取り戻した。
後半のスコアは26-7。「前後半で別の試合だった」とは、ハンセンHCだけでなく、三重Hのキアラン・クローリーHCも口にした。奥井は「後半、単純にラグビーを楽しんでプレーできた。前後半で自分たちのラグビーは違っていた。トヨタのラグビーはどういうものかを見せられた」と振り返った。
後半開始から交代出場したWTB和田悠一郎は前半、仲間が困惑していることを感じていた。
「出るとなったら、しっかり周りを鼓舞していこうと思っていた。最初から僕やガノ(ヒンガノ・ロロヘア)がインパクトを出せたのは良かった」
和田はトライキャンセルもあったが、強みのランで何度か活路を切り開いた。ヒンガノも13分にインゴールにグラウンディング、トライの判定だったがTMOの結果、別の選手がオブストラクションとなり、トライキャンセル。この判定に関してもハンセンHCは「考えられない。ボール付近にいなかったのに、トライが否定された」と疑問を呈した。「世界的な傾向として、TMOに時間をかけすぎている。ミスを避けるために導入されたが、影響力が大きくなり、見ている人も困惑している。今のシステムは上手く機能していないが、レフリーをうまく育てれば、より良い結果に繋がる」
これでヴェルブリッツのシーズンは終了。成績は昨季の10位から一つ上の9位。だが成長のスピードが違うことは誰もが感じている。最後の会見の締め括り、ハンセンHCは若手選手の成長を称えた。
「彼らを本当に誇りに思う。メンタルの準備、フィジカル、ストレングス、全てにおいて向上している。奥井や青木らは日本ラグビーを支える存在。トヨタのファンは辛抱強く見守ってほしい。いつか必ず結果が出る日が来る」
シーズン終盤、NO8を任された青木恵斗。慣れないポジショだったが、この日は外国人選手が複数でも止められない突破を何度も見せた。
「NO8でも、やることは変わらないのに気付いて、モヤモヤがなくなった。来年は中盤でもらっても、ディフェンスを崩せるように頑張りたい」と、さらなるパワーアップを誓った。
ハンセンHCの手腕で目標達成への下地は整えられた。ラストゲーム、結果は伴わなかったが、近い将来、「あの試合があったから」とみんなで笑って振り返ることができれば、それが恩返しだ。(森本優子)

FL 奥井章仁

「このチームはドラゴンボールみたい。いろんな個性が集まっていて、一つになれば強い」とNO8青木恵斗

終盤、メンバー入りしたWTB和田悠一郎。「ハンセンさんにはメンタルで熱くなりすぎないことを教えてもらって、それが活きている」

後半24分、ヴェルブリッツデビューを飾ったユーティリティBK森谷圭介。SO松田とのコンビは埼玉WK以来