2026.03.29 00:00
コラム
第13節マッチレポート
「チームとして勝てたのが一番嬉しい」(福澤慎太郎)
トヨタヴェルブリッツは3月28日、日産スタジアムで横浜キヤノンイーグルス(横浜E)と対戦。後半、FW6人で戦う厳しい時間帯もあったが、ディフェンスで粘り抜き33-27で白星を挙げた。
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満開まであと少しの桜が周辺を彩る日産スタジアム。花びら1枚ほどのきわどい勝利だったが、薄くとも裂かれない強靭さがあった。
80分通してのテリトリーは相手66、ヴェルブリッツ34。トライは5本対3本。地域的に苦しい中でトライを取り切り、長い時間をディフェンスに割いた80分だった。
前半は21―10とヴェルブリッツのリード。これまで各チームとも手を焼いてきた南ア代表SHファフ・デクラークも抑え込み、FWもブレイクダウンで優位に。だが正念場は後半、デクラークが入替でピッチを去った後にやってきた。
33-24とリードしている場面でLOローレンス・エラスマス(24分=反則の繰り返し)、ヒンガノ・ロロヘア(25分=危険なプレー)が立て続けにシンビンに。セットプレーで不利な状況に追い込まれた。
「一人戻ってくるまで、どうやって時間を上手く使うか。プレッシャーのかかる時間だった」とSO松田力也。31歳の司令塔は冷静だった。
「むしろ自陣でプレーしているほうが、後ろ(の人数)も少なくできて、フロントラインも変わらずできた」
2人少ない時間帯でゴールを背に相手のアタックを止め続け、失点をPG1本に留めた。
厳しい状況で周りを勢いづけるプレーを見せたのが、この試合がデビュー戦となった加入2年目のHO福澤慎太郎だ。
まずは前半35分、負傷したNO8姫野和樹キャプテンの交代で入ったFLウィリアム・トゥポウがHIAの疑いで一時退場。急きょFLで出場すると、すぐに密集で強烈なレッグドライブ。38分のFL青木恵斗のトライの起点を作った。
「ラッキーでした。グラウンドに入ると、僕よりデカい選手しかいないので、強みである低さを活かしてプレー出来た」
HOとしてピッチに入ったのは後半22分。25分にもビッグプレーを披露した。FW6人となり、自陣ゴール前で攻められている密集で、ボールを獲り返した。
「僕、ちっちゃいんで相手が全然気づいてなくて(笑)、どんどん入っていったら、いい感じにボールがとれた」
試合前日のミーティング、サプライズがあった。スタッフが高校の同期、職場の同僚、両親に依頼した応援メッセージが流された。
「めっちゃ嬉しかった。(泣いたかどうかは)秘密です」
身長168㌢。判断の速さと正確性でサイズを強みに変え、リーグワンデビューを勝ち取った。
試合後の会見でハンセンHCも「彼は2キャップを獲得した。一つはFLとして、もう一つはHOとして。-独特な状況でいいプレーをしてくれた。彼の人生にとっても忘れられない日になったはず」と賛辞を惜しまなかった。
「ラインアウトはマイボールがなかったので、HOデビューはこれから。チームとして勝てたのが一番うれしい。でもまだスタートラインに立っただけ」(福澤)
チームとしてのしぶとさを見せての勝利だが、反則が続いたことで苦戦を招いた。後半のペナルティ数は相手が4でヴェルブリッツ9。
「これまでいろいろなチームを指導してきたが、2試合連続でLO2人のシンビンは経験がない」とハンセンHC。
「ペナルティは必死でディフェンスするからでもあり、故意の汚いプレーではない。ただ現状は反則の繰り返しで、カードになっている。ラックで1㍍下がる、レフリーに反則をする印象を与えないなど、規律をしっかり見直したい」(ハンセンHC)
反則せず止めることが喫緊の課題だ。これで交流戦8試合を終了、次節からはカンファレンスBとの対戦に戻る。6強のうち3チームは第13節で決まった。残り5試合、総力戦のターンが始まる。
1週前にミライマッチで戦っていた選手が、次の週にはリーグワンで白星に貢献する。これは福澤だけでなく、FL三木晧正も同様だ。粘り強く続けてきたミライマッチでのベース作りが、これから真価を発揮する。(森本優子)

福澤慎太郎

アーロン・スミスとファフ・デクラーク(背番号9)。世界最高峰のSHが対峙した

FL三木晧正も前週のミライマッチからメンバー入りして活躍