2026.03.17 00:00
コラム
第11節マッチレポート
「次はスクラムで評価されたい」
(平井半次郎)
トヨタヴェルブリッツは3月15日、リーグワン第11節で浦安D -Rocks(浦安DR)とパロマ瑞穂ラグビー場で対戦。9トライを奪い59-19で勝利。3連勝で通算成績を4勝7敗とした。3連勝はリーグワン2022-23以来、3シーズンぶり。
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試合当日朝、アクシデントがあった。1番で先発予定だった三浦昌悟が体調不良に。急きょリザーブの平井半次郎がスタメンに繰り上がり、前日のミライマッチに出場した百地龍之介がメンバー入り。ルーキーの平井は今季第4節BR東京戦の交代出場でデビュー。以降メンバー入りしていたが、プレータイムはこれまで10~20分。突然の大役だった。本人は「寝てる時にスタッフから電話が来て、最初は何のことかわからなかった」
だが時間と共に緊張感が増してきた。「昼食で一緒のテーブルだったヒメさん(姫野)や力也さん(松田)から“ヤバイ、顔固まってるわ”といじられて」
試合直前、松田から声をかけられた。「思いきりやれ、後のことは俺がなんとかする」
「カッコええなあと思いながら、緊張がほぐれました」
百地も背中を押してくれた。
「モモさんから“最後は任せろ”と言われて、不安なくいけました」
ファーストスクラムは開始1分。そつなくこなし、その後もスクラムで苦しむことはなかった。十分な及第点だが、後半15分には初トライも記録。試合後、POMで自分の名前が呼ばれた。
「何もしてないんで、ラッキーと言うくらいです」
もっとスクラムでやれたという悔いがあるからだ。
「スクラムでペナルティをとりたかった。そうしたら、さらにチームに勢いが出たのに」
大学時代からアタックに定評があったが、3年でLOから1列に転向。慣れないスクラムに苦労した。昨春のヴェルブリッツ加入時も、暗中模索が続いていた。だが上野隆太アシスタントコーチの指導で、自分に合った組み方が見つかった。
「だんだん弱みから、“いける”という気持ちになってる。次はスクラムで評価されたい」
平井だけではない。スティーブ・ハンセンHCは会見で「ひとこと、いいですか」とことわり「平井はもちろん、百地も前日に45分出場して急きょ試合に出た。他のメンバーにとってもいい刺激になったはず」と左プロップ2人の献身を称えた。
この日、マッチスポンサーが設定した最も印象的な活躍をした選手に贈られる「MIP」にはLOローレンス・エラスマスが選ばれた。元浦安DRのLOも骨身を惜しまず走り回った。試合開始のキックオフは浦安DR。エラスマスはしっかりキャッチすると、相手を引きずりながら前に出た。
ヘッドキャップをつけた背番号5は、その後もモールやボールキャリーに奮闘、後半33分には自陣から60㍍独走し、この試合で自ら2トライ目をスコアした。「レフリーの笛も鳴らなかったので、全力で走りました。(独走は)若いときにはありましたが…」と照れたが、残り10分で先発LOが独走トライを奪うのは、今のチームの努力の証明だ。
姫野和樹キャプテンは週初めのミーティングで、エベレストのAIを見せ「いまから登っていく」と仲間に伝えた。何度か相手に流れを奪われそうな場面もあったが、腕相撲さながらに相手をねじ伏せた。
「FWがフィジカルに戦えて、良いセットピースからボールをBKに出すことができました」(エラスマス)
さらに姫野キャプテンはFL奥井章仁、WTBマーク・テレアをはじめとしたリーダー陣の成長を挙げた。「僕が方向性を示していく中で、他のリーダーが素晴らしく成長してくれた。彼らの声掛けやアクションが僕を助けてくれて、本当にいい方向に進んでいる」
チームは進化の速度を速めている。
次節は1か月半前の対戦で19-43と敗れた静岡BRが相手だ。ハンセンHCは「勝とうが負けようが、我々のやることは変わらない。毎週いい準備をし、正直さ、強い意志を持って集団としての準備を徹底すること」
誰もがいま、実感を持ってその言葉を噛みしめられる状況にある。
(森本優子)

PR 平井半次郎

古巣相手に2トライを挙げたLOローレンス・エラスマス

ランに加えキックキャッチに繋ぎ役と幅広い活躍を見せたWTBマーク・テレア