2026.02.23 00:00

第9節マッチレポート 「自分たちはこの瑞穂から這い上がる」(姫野和樹)

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第9節マッチレポート


「自分たちはこの瑞穂から這い上がる」(姫野和樹)



 トヨタヴェルブリッツはリーグワン第9節で、昨季王者・東芝ブレイブルーパス東京(BL東京)とパロマ瑞穂ラグビー場で対戦した。前半から接点の激しさで上回り、52-21で快勝。連敗を7で止め、開幕節以来の2勝目を挙げた。

長かったトンネルを抜けた。それもホームスタジアムの瑞穂で、多くのVOLTsと一緒に、待ちわびた瞬間を味わえた。

 気温15度と一足先に春が来たスタンド。開始直後から緑のジャージーは一人ひとりが激しく攻勢に出た。最初のトライは4分。CTBシオサイア・フィフィタが力強く突進、ゴール前でFL青木恵斗が勢いよく相手防御をこじ開けた。2本目は25分、WTB髙橋汰地から咄嗟にパスを受けたフィフィタがトライスコアラーに。全員がボールを持つと、これまで以上より一歩ずつ前へ。その一歩が絶え間なく繋がり、雪解けの水が渓流をほとばしるような勢いで前年度王者を圧倒した。

接点だけでなく、スクラムでも優位に立った。先制トライ直後の相手ボールでのファーストスクラム。一気に押し込むと相手が反則。その後の流れをつかんだ。

「マインドセットを大事する中で、1個1個の自分の役割をやり切りましょうと。ここで絶対プレッシャーをかけるという思いになって押し切れた」(PR三浦昌悟)

 2週前の横浜E戦で敗れ6連敗。翌週の選手だけのミーティングが、チームが変わるきっかけとなった。「(変わったのは)覚悟。やってきたことは間違ってないとは感じていて、なぜ結果に出ないんだろうという葛藤があった。あのミーティングで“一つ一つの丁寧さが大事だよね”という話になって、それに気づけたのはよかった。ラグビーはマインドセット一つでチームが変わるスポーツ」(三浦)

その言葉を象徴していたのは、後半15分間の攻防だ。27-7で折り返した後半、先に BL東京にトライを返されリードは13点差に。これまでは失点が重なった魔の時間帯。この日は一丸となって乗り越えた。

 9分、FBティアーン・ファルコンが相手ボールに絡んで反則を奪う。タッチキックで前進してのラインアウト。LOヒンガノ・ロロヘアが、NO8姫野和樹が、SO松田力也が無骨に身体を当てて相手ゴールに迫る。8次までフェイズを重ねたところでWTBマーク・テレアが突進、素早くフォローしたSHアーロン・スミスが飛び込んだ(13分)。全員が繋いだトライで、34-14と再び点差を広げた。観客8199人の大半を占めたVOLTsもタオルを掲げ、声援を送り、選手の背中を押した。チームとスタンドが一体となったトライだった。

 最終スコアは52-21。POMは5本のコンバージョンと4PGを成功させたSO松田力也が選ばれた。50点以上スコアして勝った試合は2023-24年度第3節の相模原DB戦(54―40)以来だ。

 試合後、スティーブ・ハンセンHCは「今日のようなパフォーマンスを求めて、シーズンを過ごしてきた」と最良の評価。姫野キャプテンも「非常に満足しています。チームの努力に関して自分自身誇りに思う」と胸を張った。

BL東京のトッド・ブラックアダーHC、リーチ マイケル主将共々、会見の第一声で勝利を称えた。

「まずは勝利おめでとうと言いたい。今日のトヨタは勝利に値するチームだった」(ブラックアダーHC)

「ほぼ満員の瑞穂でプレーして、多くのトヨタファンが勝って喜ぶ姿を見て、トヨタにとってはよかった試合だったかなと」(リーチ)

 トップリーグ時代からフィジカルバトルを繰り広げてきた良きライバルは、敗因も明確だった。

「東芝の伝統でフィジカルでは絶対に負けないとやってきて、そこでトヨタに負けた。ラグビーの原点はフィジカル、コリジョン。そこを離れるとこういう試合になる」(リーチ)

 日本代表で共に戦った姫野和樹キャプテンとも言葉をかわした。

「試合前“東芝も何年か前は、最下位にいた。いつか復活する”と話しました。まさかこの試合で復活するとは思いませんでした」

 そして「残り9試合の段階でこういう試合が経験できた。これからのバネになる」。敗れてなお王者の矜持は揺るがなかった。

 リーグ戦はこれで折り返し。ヴェルブリッツの追撃もこれからだ。

「自分たちはこの瑞穂から這い上がる」(姫野キャプテン)

 次の相手は相模原DB。昨季は連敗を喫している相手だ。

「先週ああいう試合をして、今週いいゲームができた。次にどういうゲームを見せるかが本当に大事。自分たちの地力が試される。もう1回厳しさを示してやっていきたい」(FL奥井章仁)

 一度は奈落の底を見た。今度は這い上がっていく強さを見せる。(森本優子)

NO8 姫野和樹

NO8 姫野和樹

6トライ中5本のコンバージョン、4PGを成功させたSO松田力也

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スクラムにブレイクダウンに働いたPR三浦昌悟は今季全試合先発

スクラムにブレイクダウンに働いたPR三浦昌悟は今季全試合先発

チームの看板となりつつある青木恵斗、奥井章仁、姫野和樹(左から)の第3列

チームの看板となりつつある青木恵斗、奥井章仁、姫野和樹(左から)の第3列