2026.02.14 16:00
コラム
第8節マッチレポート
「自分たち全員で作ってきたゲーム」(奥井章仁)
トヨタヴェルブリッツは2月14日、リーグワン第8節で埼玉パナソニックワイルドナイツ(埼玉WK)と熊谷ラグビー場で対戦。前半を7-6でリード、中盤に逆転されたものの粘り強く追いすがり、最後まで食い下がったが、20-26で敗戦。通算成績は1勝7敗となった。
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これまで苦しんできたのが嘘のような戦いぶりだった。スコアは最後まで逆転圏内、ブレイクダウン、ディフェンス、タックルなどのスキルの修正に加え、運動量も落ちなかった。堅守で知られる相手に20フェイズ近く我慢強く繋ぎ、2トライを奪った。ターンオーバー数は相手4でヴェルブリッツが8。反則数も10対11。これまで抱えていた課題が修正されていた。
試合後の会見でNO8姫野和樹キャプテンは、「素晴らしいエフォートをしてくれました」とチームを称えた。
前節、横浜E戦に敗れて最下位に転落。週始まりの月曜、選手だけのミーティングを敢行し、そこで仲間に訴えた。
「僕は僕のことをやるから、皆に助けてほしいし、皆の力が必要だ」。
その言葉がチームを覚醒させた。
いつにもまして奮闘したFL奥井章仁は、こう振り返る。
「ヒメさんはずっとキャプテンをやってきて、僕らには計り知れないプレッシャーがあったと思う。それを踏まえて“助けてもらいたい”と言ってくれたとき、いい意味で、ヒメさんの弱いところを見せてくれたと。人間味あふれる感じがして、これまでと変わらずついていくんだけど、よりみんなが一つになれた」
以前から苦悩を知っていたSO松田力也も同様だ。
「彼はいちばんトヨタを背負っていて、そういう姿を見せたくない選手。そう声を発して涙を流すのはみんなの心に響いたと思うし、僕もそこまで背負わせてるんだと改めて感じた」
練習で日々キャプテンが伝え続けたのは「自分たちは勝つに値するチームだ」ということ。
「いろいろな外野の声はあるけど、自分たちがやってきた道のりは自分たちしか知らない。そのプロセスから自信をつかむんだと。“自分たちはこれだけのプレーができるんだ”と映像を見せたし、“自信を持って自分たちのやってきたことに信念を持ってやろう”と伝えました」
試合に向けた努力はオフフィールドでもあった。「理解できていないところとか、本当に細かくグラウンド内外で話し合った」(姫野)
奥井も「選手同士も、コーチとも色々話せた。自分たち全員で作ってきたゲームかな」と振り返る。これまで曖昧だった細部がクリアになり、気持ちも繋がった。チームは本来あるべき姿を取り戻しつつある。
松田力也はヴェルブリッツ加入以降、初めてビジター側として熊谷でプレーした。
「やりにくい相手でしたけど、自分の直感を信じて、判断を考えすぎず直感でプレーしようと。ヴェルブリッツが一番強みにしているフィジカルで勝負したことでクロスゲームになった」
昨季のビジターでの対戦は4月。2月に負傷した松田は病院のベッドで試合を観ていた。それが完全復帰し、先発での登場。前半24分、自ら挙げたトライのコンバージョンを決めたときには、「ナイスキック、力也!」と温かな場内アナウンスが響いた。名前の入った緑とブルーのタオルを掲げるファンも多かった。
「温かい熊谷のファンの皆さんの前でプレーできたのはすごく嬉しい。いいチームだなと改めて思いました」
埼玉WK坂手淳史キャプテンも「力也と熊谷で対戦するのは、なんか変な感じ(笑)。トヨタは今後、もっともっと上がっていくのでは。互いに切磋琢磨したい」と、会見でエールを贈った。
次節は2月21日、BL東京とホストゲームで対戦する。今季の首位チームの次は昨季王者と、正念場が続く。
「失うものは何もない。あとはどれだけ自分たちを信じられるか。崩れようと思ったら簡単に崩れる。そこをどう踏ん張るか。本当に崩れたら、今日のゲームも50点60点取られたと思う。それを踏ん張れたというところは次に繋がるし、いい反省が見つけられた」(奥井)
トンネルを抜ける鍵の場所は見つかった。次はそれを全員で開け、VOLTsと喜びをわかち合いたい。(森本優子)

FL奥井章仁

黙々と身体を当て続けたLOローレンス・エラスマス。陰の功労者

最初のトライをスコアしたSO松田力也

名前入りタオルはスタンドのあちこちに。熊谷のファンに愛されていた松田