2025.12.22 10:25

第2節東京SG戦マッチレポート 「タックルで流れを取り返せる7番に」(三木晧正)

カテゴリ

コラム


第2節東京SG戦マッチレポート


「タックルで流れを取り返せる7番に」(三木晧正)



トヨタヴェルブリッツは12月20日、東京・味の素スタジアムで行われたリーグワン第2節で東京サントリーサンゴリアス(東京SG)と対戦、25-43で敗れた。

開幕白星を挙げた前節の三重H戦に続き、キックオフから60分はヴェルブリッツのペースだった。9分にSO松田力也のPGで先制。スクラムも速い球出しで安定、序盤はブレイクダウンでも圧をかけ相手から反則を奪うなど、優勢に試合を進めた。

後半18分にはNO8姫野和樹キャプテンの2試合連続トライで25-15と10点のリードを奪ったが、東京SGはそこからギアを上げた。23分、南ア代表WTBチェスリン・コルビのトライを皮切りに連続4トライ。25-43で逆転負けを喫した。

試合中盤までもピンチは何度かあった。相手のトランジション(ディフェンスからのアタック)にも連携を切らさず、何度もゴール前でしのぎきっていたが、潮目が変わったのは32分、相手SH福田健太のトライから。25-29とリードを奪われた直後、相手陣ゴール前でマイボールラインアウト。リードを奪い返す絶好の機会だったが、そのボールを相手にスチールされ、一気に自陣まで戻された。その後は受けに回り、相手に主導権を渡した。

会見で姫野キャプテンはその場面を「逆転されたけど、ゲームとしてはまだ全然終わってない中で、一人ひとりなんとかしようとしすぎて、コネクションを失ってしまった。もう少し冷静に自分たちのプレーにフォーカスすべきだった」と振り返った。

スティーブ・ハンセンHCは「我々は60分までは勝てる地点にいた。だがその後、無意識のうちにアタックスタイルをやめてしまい、ボールを雑に扱ったり、キックを不必要に蹴ったりと、仕掛ける姿勢が消極的になった」

東京SGのSH流大ゲームキャプテンのコメントも、ハンセンHCと重なり合う。

「試合前に伝えたのは二つ。“(勝つまで)80分間かかるゲームになるけど、先を見ずに目の前に集中しよう、恐れずにアタックしよう”と」

無意識のうちに守りに入ったヴェルブリッツを、試合巧者は見逃さなかった。

「成功体験がまだ足りない選手もいる。我々には十分な実力があるということを前提に、これからもプロセスを信じて努力する」(ハンセンHC)。

試合の中で輝きを放ったのは、背番号7のFL三木晧正。白いヘッドキャップはあらゆるところに姿を見せ、相手を仰向けにした。タックル数は両チーム最多の23回(2位は姫野の20回)、成功率は百㌫。「らしさ」は存分に発揮したものの、試合後も唇を固く結んだままだった。

「この強度でのパフォーマンスに慣れないと。何回タックル行こうとも、勢いは向こうにあった。それを取り返せるタックルを繰り返せるようになれば、“トヨタの7番”と言われるようになる」

タックルで試合の流れを変える7番。三木が名前をあげたのはアーディ・サベア(神戸S)とクワッガ・スミス(静岡BR)だ。「トヨタの7番」という言葉には、先輩達への尊敬とプライドがこもる。

「試合で使ってもらう以上、どんどん積み上げていかないと。急に開花するものじゃない。自分自身、もっと厳しくやっていかないと」。

鍛錬の日々は続く。

この試合で学んだのはシンプルなこと。80分間、全員が強い意志でアタックマインドを持ち続けられるか。皆が求めて止まないものは、その先にある。 (森本優子)


 先発した右PRタウファ・ラトゥはヴェルブリッツで初キャップ

先発した右PRタウファ・ラトゥはヴェルブリッツで初キャップ

後半10分、今季初トライを決めたWTB髙橋汰地

後半10分、今季初トライを決めたWTB髙橋汰地