2025.11.30 12:00
コラム
11月29日、新装なったパロマ瑞穂ラグビー場のこけら落としイベントとして開催された「RE・OPEN MIZUHOラグビーフェスタ2025」。トヨタヴェルブリッツはプレシーズンマッチとして、コベルコ神戸スティーラーズ(神戸S)と対戦した。
開始10分、先制トライをあげたのは、2月22日のリーグワンでの神戸S戦で大きなケガを負ったSO松田力也だった。自陣ゴール前、相手がラインアウトでクイックスローしたボールを手を伸ばしてインターセプト。そのまま抑えた。
「相手が仕掛けてくると思ったので、スイッチを切らないように予測してました」
一瞬を逃さない冷静な読み。経験豊富な司令塔の復帰を印象付けた。
試合は22分に3番のタウファ・ラトゥが負傷退場、交代で入った木津悠輔も5分で負傷退場。3番を組める選手が不在となり、その後はノーコンテストスクラムとなったが、ヴェルブリッツが7トライを挙げて43-12で快勝。12月27日のリーグワンでの対戦に弾みをつけた。
「今日は反則が比較的少なかった。アタックで我慢していいゲームができた」(松田)
2月の負傷後、試合から遠ざかっていた松田が実戦に復帰したのは、10月31日の部内マッチ。復帰まで1年と言われていた当初の見込みを大幅に上回る回復だった。
以後、九州KV戦、GR東葛戦と出場し、神戸S戦が4戦目。プレータイムも徐々に延び、この日は前週に続き、後半20分まで出場した。
「今日はこの前の60分より身体の感じもいい。最初は40分がめっちゃきつかったけど、体力的にもいい形でフィットしてる」

移籍2年目。自分自身も、よりチームに馴染んできたと感じる。
「去年はチームが苦しい状況のときに自分がそこにいられなかったのがすごく悔しかったけど、今年はシーズン前から一緒に過ごすことで、キャラクターやプレーの癖など、より理解できるようになってきた」
2月の花園で行われた神戸S戦で負ったケガは「スポーツではない、交通事故レベル」(松田)だったが、大阪に股関節専門医のいる病院があり、最速で最良の治療が受けられた。
「ついてるなと。このラッキーを周りに還元していきたい」
受傷、50日に及ぶ入院、その後のリハビリと決して平たんではなかったであろう日々を「ついていた」と振り返ることができるのは、松田力也という人間の持つ強さだ。
「周りの人のたくさんのサポートがあって帰ってこられた。あとは自分が結果で皆様に恩返ししていくだけ。ラグビーが出来ることを幸せに感じて楽しんでやりたい」
戻ってきた司令塔の放つエネルギーは、間違いなくチームの推進力となる。 (森本優子)

神出鬼没のプレーを披露した新加入WTBマーク・テレア

姫野キャプテンがハイランダーズ時代にプレーした同僚たち。左からジョシュ・ディクソン、アーロン・スミス、アッシュ・ディクソン(神戸S)

この日の観客は5,596人。ファンも新装なったパロマ瑞穂ラグビー場での1勝目に祝福